極私的感銘作品集(vol.1)

このコーナーは、曲批評だけでは語り尽くせない世界を私に見せてくれたCDを集めたものです。


金魚(Bonnie Pink)

Bonnie Pinkは、私の中でとても大きな存在です。といっても、作品をたくさん持っている

訳ではないのです。ただ1作品だけに感動してしまいました。前から曲や名前は聞いていた

のですが、所有することができた日に嬉しくてすぐに聞いたとき、慟哭の情を覚えてしま

いました。

 

このCDには以下の曲が入っています。

  1. 金魚
  2. Your Butterfly
  3. Fallen sun (Missing Link Version)
  4. 金魚 (Inst.)

 

これが収録曲一覧ですが、2番と3番の曲の歌詞は「アーティストの意向により掲載して

おりません。」(CDに書いてあります。)

 

ジャケットは全体的に赤く、金魚が一匹描かれているだけです。そして「金魚」を皮切りに

寂しい曲が連続して流れてくるのです。2.3.4.に歌詞がないだけに、「金魚」の印象が強く

なってきます。

 

”私”は強くて弱いのです。だから、あなたに頼るしかないのです。でも、あなたの存在自体が

”私”には信じられないのです。いつ消えてもおかしくないものに頼るしかないのです。

あなたがいないととても息苦しいのです。

 

彼女はこういっているように思います。

 

私は、Bonnie Pinkの中に、過敏で繊細な神経を見るのです。そう、彼女は過敏すぎて

”あなた”の存在を神格化しているのです。神に魅入られた哀れな子羊、それは無力で

救われるのを待つしかない哀しみを表しているのです。金魚、Butterfly、ともに弱いもの

です。Bonnie Pinkは自らをその弱いものに仮託する事によって愛の不条理を描いている

のです。

 

前に、moysさんのページで椎名林檎「無罪モラトリアム」のレビューをのせていただきました。

椎名林檎は「過剰に演じる」事で恋愛の不条理を演出していたように思います。それに習うなら、

Bonnie Pinkは「単純化する」事で恋愛の不条理を見せつけているように思います。

 

救いがないかもしれないのに、のめり込むしかないもの、それが恋愛の真理なのかもしれません。


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