椎名林檎研究(vol.26)

やっぱり目をそらせない椎名林檎を正面から見据えて

正体をみれたらいいな、というわけで書いています。


新しい命による心の安定は訪れるでしょうか?(2)

椎名林檎姫から臨時ニウスが発表されました。姫はただいま妊娠五ヶ月になり、

生命の神秘を感じ取っておられるそうです。

 

妊娠と言えば思い出されるのが、日経エンタ!1999年4月号の記事です。その記事自体は

“ニューR&B”の特集だったのですが、“ニューR&B”の代表的な存在であるローリン・ヒル

が未婚の母であることの音楽への影響も少し書いてありました。

 

彼女はインタビューで、「成功には混乱がつきまとうもの。一躍注目を浴び、真実がどこに

あるのか、いったい誰が親友かわからなくなった。そんなときザイオン(ローリンの息子)を

授かり、すべてを見つめ直すことができた」と語っています。ヒップホップ系ラジオ局、

R&B専門局、一般ラジオ局で別々に指示されるという、ジャンルの枠を超えた活躍を

していた彼女にとっても、「成り上がり」めいたヒットは幸せをもたらさなかったのです。

 

安室奈美恵にとっても、TKプロデュースによる曲のヒットは必ずしもいい状態ではなかった

ようです。それに、彼女が活躍していたときにはすでにトップスター凋落時代をむかえて

しまっていましたから、いい音楽を生み出しても生き残れないという状態になっていました。

しかも、日経エンタ!によれば「生来の性格から親友も相談相手も持たなかった」そうで

すから、自分が世の中に必要な存在なのかどうかがわからなくなってしまっていたのです。

 

自分の曲が売れても幸福になれない時代、曲を歌えることが幸福をもたらさない時代、

家族も親友もファンも、生まれた土地も曲そのものも安心をもたらさなければ、誰でも

孤独感を感じてしまうでしょう。椎名林檎を取り巻く状況もまた、彼女にとっていい状態

とはいえなかったということを、彼女の妊娠が象徴しているように感じられるのです。


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