椎名林檎研究(vol.12)

やっぱり目をそらせない椎名林檎を正面から見据えて

正体をみれたらいいな、というわけで書いています。


深刻なる不幸と林檎(1)

私が椎名林檎ファンであることはしばらく前からよく公表していますね。1月26日発売の

2枚同時発売のマキシシングル『罪と罰』『ギブス』、もちろん買いました。

 

30分位かけて2枚を聞き終えました。さすがにそれ以前の曲21曲を聴いたとき、特に

『歌舞伎町の女王』を聞いたときや『幸福論』を通して聞いたときのような驚きはなかった

です。いろいろな曲を通じて同じような主題を扱っているような気がしましたから。

 

それで、2枚を聞き終えて思ったことは、「今の女性が抱える心情を、悩みをよくこういう側面から

表すことができたなあ」という驚きです。これはまさに1990年代、J-POPがこの世に誕生して

からの女性問題とオーバーラップしているように感じたからです。

 

女性解放運動がこの世に誕生してからたかだか200年程度でしょうか。フランス革命が産み

落とし、アメリカやヨーロッパでいろいろな過程を経ながら成長してきたこの運動は、1960年代

頃から世界的にいろいろな文化的前提に異を唱えてきました。ウーマンリブ、フェミニズムと

いろいろな分派を生み出し、いろいろな思想と戦ってきた結果、女性の生き方を決めてきた

明治以来の近代的家庭像は影を潜め、女性の地位向上という目的は確かに達成して

きました。

 

しかし、その一方で私には1980年代以降の女性が深刻な問題を新たに抱えてきたように

みえてしょうがないのです。「自己実現を図れないが故の」不幸や、「”真の”恋愛が得られない

が故の」絶望がそこにみえるのです。


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