やっぱり目をそらせない椎名林檎を正面から見据えて
正体をみれたらいいな、というわけで書いています。
私小説的な林檎(2)
今回は久しぶりに哲学的に考察したいと思います。
『正しい街』で彼女は、「あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね」と歌います。
つまり、彼女は今まで住んでいた町から出ていく途中である今の場所で、前の街での
想い出と戦っているのです。ただ想い出に浸るのではなく、その想い出の正しさを
認めつつ未来へと踏み出すべく戦っているのです。
なぜ「君が正し」いのか、それは彼女が急に心変わりして彼をふったからです。彼女は
ある日突然彼との生活をやめたくなって、ただそれだけで彼との生活をやめてしまった
過去を持っているのです。ウソをつなげて本音を伏せて、未練を持っている彼を捨てて
きたのです。
彼女は悪いかなーと思っているのでしょうか。そう思うこともあるかもしれません。しかし、
それでも彼との生活に戻ろうとはしないのです。彼女は自分には罰を与えますが、
それでもその事を背負って未来へ踏み出すのです。そこには、「自分のしたことを
自覚しつつ、贖罪の旅へ出ようとする」姿があるのです。
この歌において彼女はとても美しく輝いています。なぜなら、彼女はすべてを振り切って
明日へと踏み出しているのですから。
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